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裁 決 書
熊 本 市 建 築 審 査 会
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裁 決 書
審査請求人 熊本市秋津町秋田3442番地40 佐 藤 上
熊本市秋津町秋田*****
* * * * 処 分 庁 熊本市建築主事
* * * * 参 加 人 特定行政庁
熊本市長 * * * *
上記審査請求人らが、平成19年8月13日付けで提起した審査請求について、当 建築審査会は次のとおり裁決する。
主 文
審査請求人らの請求する建築確認処分の取消請求は棄却し、検査済証交付処分 の取消請求は、これを却下する。
理 由
1.審査請求人らの主張
審査請求人ら(以下「請求人」という。)は、熊本市建築主事(以下「処分庁」とい
う。)が、平成19年7月20日付け市建第*****号で、請求外株式会社***
*****************が、熊本市秋津町秋田*******
***の一部に、工事中の建築物(以下「本件建築物」という。)に対してなした建築
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基準法(昭和25年法律第201号、以下「法」という。)第6条第4項の規定に基づく 計画変更の建築確認処分(以下「本件処分」という。)の取消し及び、本件処分の 建築物の完了検査が本請求期間中に実施され、検査済証が交付された場合にお いては、当該検査済証交付処分を取消すとの裁決を求め、次のとおりその理由を 述べた。
(1) 現在、一部営業中の本件建築物について、秋津レークタウン建築協定(以 下「建築協定」という。)違反として、請求人を含む建築協定締結者からの提 訴によって民事係争中であるが、行政担当者は、係争中の判決を自己の偏 見によって予断し、一方的に業者が有利になるよう恣意的に本件処分を行っ ており、地方公務員法に違反している。
(2) 本件建築物は、建築確認を得ずして着工し、市民の通報により行政担当者 はその事実を知り得ているにも関わらず、違反行為を見逃し、本件処分を行 っている。また、違法行為に対する行政指導の一切の記録を保存しないのは、 不適切あるいは規則違反の行政処理である。 さらに、子どもや歩行者等に対する安全配慮の必要なスーパーマーケット 駐車場で、入り口付近に近接した場所での庇の増設も見逃して本件処分を なしている。
(3) 行政担当者は、建築協定の例外規定がないことについて、自ら公文書によ り認めているにもかかわらず、違反している建築物について、自治会長等の 同意により例外的に建築可能と誤解し、本件処分を行っている。 また、他の法律違反事実に対しても、関係機関に告発することなく本件処 分をなしている。 行政担当者が唯一の論拠としている同意書は、自治会長及び熊本勤労者 住宅生活協同組合からの撤回文書が送付され、明確に撤回されているが、 撤回の意思を故意に無視して本件処分を行った。
(4) 特定行政庁が所掌する建築協定の遵守についても申請者に指導すべきで
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あるが、本件建築物に対しての事前指導はまったく行っておらず、これは行政 の重大な不作為である。仮に建築協定が本件処分の判断基準には直接には 含まれないとしても、住環境を守る立場に立った行政が建築協定をないがし ろにすることはあってはならない。
(5) 本件処分が存続することによって審査請求をして取り戻し得るべし利益は、 建築協定の目的に示すとおりであり、善良な協定締結者の債権の保全、及び 市民の行政への信用の回復である。
(6) 都市計画法では、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物を新 築してはならず、ただし書きによる都道府県知事が支障がないと認めた 場合でも許可が必要であり、それを経ずに処分庁によってなされた本件 処分は違法である。 また、当初の開発許可が出た時の条件である店舗用地内の店舗は、既 に延床面積を超えており、これを分割することは違反である。
(7) 請求人の審査請求をして取り戻し得るべし利益が失われる恐れがあること から、今後の処分庁による完了検査、検査済証交付の行政処分の取消しを 求める。
(8) 建築協定は建築基準法上の建築確認や、違反の是正措置の法的判断基 準には直接には含まれないことは、現行法制度の欠点あるいは限界として請 求人も承知するものの、建築協定に係わる確認申請の取扱いの誤りによって 恣意的に整合性を欠いている行政担当者の行為は、行政における平等の原 則に反した不当な処分である。
2.処分庁の弁明
処分庁は、本件審査請求を棄却するとの裁決を求め次のとおり弁明した。
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(1) 建築主事の確認処分は、建築基準関係規定の適合・不適合について判断 をなす裁量の余地がない行為であり、社会正義とか通念上の当・不当の判断 については建築主事の権限外である。また、建築協定は建築確認の対象法 令ではない。 本件処分も申請された建築確認申請書により建築基準関係規定に則り、 その適合性を判断して確認済証を交付した。
(2) 本件処分は平成18年6月7目付け市建第180051号にて確認処分(以下、 「当初確認処分」という。)した建築物に帰属する計画変更手続であり、面積の 増加等が特に発生しない建物内部規定等の審査であって、その取消しは意 味が無い。当初確認処分の際、工事途中においてテナントが決定したら確認 の変更手続きを申請し、確認を受けてから工事を続行する旨の誓約を交わし ている。これは法第6条の手続規定の趣旨を鑑み、法の目的を担保する合理 的な運用として準用しているものである。 なお、計画変更申請は建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号、 以下、「省令」という。)第1条の3第8項に則り、変更にかかる部分の申請書及 びその添付図書をもって確認処分しているもので、何ら省略したものではな い。 変更の申請書類は変更の部分に関する図書をもって、審査することに足り うるということで、審査期間については短くなった。 本件処分において庇の部分は、建築面積の増分として加算して扱っており 看過していることはない。
(3) 建築主事が確認処分を行うにあたって、都市計画法上の課題が存在した 場合には許可証の添付若しくは、所管の判断がなされているかどうかを確認 するに足りる。都市計画法の合議のもと、それが適法・不適法については建 築主事が審査すべき要件ではない。本件処分においては、当初確認申請に おいて開発許可の許可証等が添付されている。建築確認申請事前調査報告 書の中で、開発許可の基準等に関する条例に則り区画変更してあり問題はな
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く、また建築形態基準としては、建ぺい率、容積率、絶対高さの制限を第1種 低層住居専用地域内の基準をもって扱うことの報告がなされている。 協定の内容について、確認処分を行う際に完全に無視しているということで はなく、協定の基準を重視して、形態規制、建ぺい率、容積率、高さ等を判断 の根拠として適正な処分を行った。用途については、当初確認処分において、 適正な行政指導がなされたという判断の基に、同用途ということで処分した。 以上により、本件処分は問題ないと判断する。
3.参加人の主張
参加人は特定行政庁の立場として次のとおり意見を述べた。
(1) 本市の建築行政を担当する部署は、建築行政に関する業務を担当する建 築指導課と建築主事が行う審査、検査等の業務を担当する建築審査室に分 かれている。請求人が理由に挙げている行政担当者は、建築指導課の職員 であり、自己の偏見、自己の予断に基づく悪意的な確認処分は出来ない立 場にある。
(2) 建築行政の通常業務において、建築計画が対象法令には問題がなく、建 築協定の内容や協定に抵触するか否かの相談を受けた場合、建築協定運営 委員会の同意を求めることを基本としているが、委員会が実働していない場 合などは、その地区の自治会長に相談するよう指導を行っている。
(3) 本件建築物に関しては、建築行政担当の一員として法を遵守し、建築協定 については私的自治との認識を踏まえながらも、問題解決に向け、住民側に 立った協議や指導を行ってきた。請求人が指摘する行政から建築主等への 要望提示などの指導は、地元住民の要望書に基づく行動である。
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(4) 本件処分がなされる前に行われた違反行為に対する是正措置を求められ たが、法の趣旨、国土交通省の見解に基づき建築行政担当課として適正に 対応していた。請求人が主張する法第9条に基づく命令は、対象法令に違反 している場合、国民の生命、健康、財産を守るために、必要最小限の措置を 命ずるものである。実体違反がなければ生命等に危険はなく、命令を出しても 無意味であるというのが国土交通省の解釈である。 今回の件は、熊本市違反建築物措置要領に基づいて工事停止の赤紙を 貼り、建築主はそれに従い、速やかに本件処分にかかる工事前の状態に戻し たため実体違反もなく、刑事罰等に値しないと判断したため口頭による注意 処分としたものであり、法令違反を看過し、便宜を供与したものではない。
4.当建築審査会の判断
(1) 本件処分の基礎をなす建築確認は、法第6条第1項に基づいて、処分庁が 当該建築物について建築基準関係規定に適合するか否かを審査し確認する 行政処分であり、行政庁の羈束行為である。また、計画変更の確認処分につ いては、省令第1条の3第8項によれば「変更に係る部分の申請書及びその 添付図書」と規定されているため、計画変更の審査範囲は、変更部分及び変 更が影響を及ぼす範囲と考えられている。 請求人が取消しを求めている本件処分は、飲食店として当初確認処分され た建築物のテナント決定に伴う平面計画の変更について行ったものであり、 当初確認処分との用途の変更はない。 したがって、本件処分では、建築物の用途の適法性等については処分庁 の審査の範囲外であり、当建築審査会の判断の対象外である。
(2) 建築主が計画変更の手続をなさずに変更部分の工事に着手した、法第6 条第1項の違反行為に対して、特定行政庁が熊本市違反建築物措置要領に 基づき口頭による是正指導を行った結果、建築主が着手前の状態に戻したた め口頭注意に留め、文書による停止指示を行わなかったことは違法とまでは
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言えない。 したがって、請求人が主張するような法に基づく是正措置をとらなかったこ とは本件処分の取消しの理由にはならない。
(3) 本件処分にかかる建築物の庇部分の増設を看過しているとの請求人の主
張については、当建築審査会で確認した結果、適切に審査されているので違 法ではない。
(4) 本件審査請求中に請求人から提出された平成19年8月20日付け「審査書 求書追記願」については、取消しを求めている検査済証が交付されていない ので当該処分の取消しを求める請求は、本件審査請求の対象にはあたらな い。
以上のとおり、当建築審査会は、行政不服審査法(昭和37年法律第16 号)第40条第1項及び第2項により主文のとおり裁決する。
5.当建築審査会の意見
本裁決に影響を与えるものではないが、請求人が主張していることについ て、当建築審査会の意見を述べる。
(1) 建築協定はあくまで私人間の一種の契約であって、建築確認の対象法令 である建築基準関係規定には該当しないが、土地所有者等の合意によって 締結され、特定行政庁によって認可された自主的なまちづくりのための協定 であり、特定行政庁はこれを尊重することが望まれる。
(2) 建築協定に関する行政指導のあり方について、請求人と特定行政庁と 間に見解の相違があり、本件審査請求に関わる事実関係については必ずし も明らかでないものがあるが、特定行政庁は、建築協定の内容を充分把握し
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た上で、建築協定への適合性を適切に指導し、地域におけるまちづくりとの 整合性が図られるよう、関係者間の調整等になお一層努力することが望まれ る。また、今後地域が主体となったまちづくりが重要になると考えられることか ら、特定行政庁は建築協定運営委員会との連携に努め、地区計画制度への 移行等その実効性を高める方策等について積極的な取り組みを期待する。
(3) 建築主事は、都市計画法第42条への適合性について、同条の規定に適 合していることを証する書面をもって確認するものであり、許可が必要な場合 は許可書を添付し、許可が不要の場合は許可不要の証明書を添付することと されている。熊本市の建築確認の運用では、特定行政庁が定める事前調査 報告制度に基づく庁内合議により関係法令への適合等を確認しているが、同 条への適合性についてもこの合議を通じて関係部局の判断を求め、その結果 をもって市長の証明に代えている。 なお、当建築審査会は本件審査請求を審議するにあたり同条の「許可の 要・不要の判断」について担当部局の見解を照会したところ、「許可不要」との 判断がなされていることを確認した(別添資料)。 以上のように、当初確認処分について、少なくとも建築主事が同条の適合 性に関して行った判断には不適切な点は認められないが、今後特定行政庁 は添付すべき書類及び合議のあり方について検討することが望まれる。
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6.教示
この裁決に不服があるときには、この裁決があったことを知った日の翌日から起 算して30日以内に、行政不服審査法第8条第1項及び建築基準法第95条の規 定により国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる。
平成19年9月13日
熊本市建築審査会
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(別添資料)
開景発第000**号 平成19年9月7日 熊本市建築審査会
会長 * * * * 様
熊本市長 ***** (開発景観課扱い)
建築確認に係る開発行為について(回答)
平成19年9月6日付け建審発第20号で照会のありましたことについて、下記のと おり回答します。
記
当該照会に係る事前調査報告書に記載された建築物の主たる用途である「飲食店」 については、都市計画法第42条第1項に規定する用途の変更には該当せず、同条に 基づく許可は必要なし、と判断した。
受理印 平成19年9月7日付
(裏面)
上記は裁決書の謄本である。
平成19年9月13日
熊本市建築審査会
幹事 ***** 印
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